米タイム誌は11日、年末恒例の「今年の人」に、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)を選んだと発表した。16歳での選出は史上最年少となる。同誌編集長のエドワード・フェルセンタール氏が同日朝、米NBCの番組「TODAY」に出演し、「地球が直面する最大の課題に対して、最大の影響力を誇る人物となった」と理由を語った。
グレタさんは昨年8月、学校を休んで気候変動への対応を大人たちに迫る「学校ストライキ」を始めた。スウェーデンの議会前でたった1人で始めた「スト」は若者を中心に大きなうねりを呼び、今年9月の世界一斉デモでは185カ国で760万人以上が参加したとされる。フェルセンタール氏は、「彼女が成し遂げたこと、彼女の影響力の上昇ぶりというのは、本当にすさまじい」と評価。「香港のキャンパスでのデモ隊などでもみられたように、若者は変革を求めている。そうした文化面での世代間シフトを象徴する人物だ」とも語った。
グレタさんが世界中にその名をとどろかせたのは、9月の気候行動サミット。米ニューヨークの国連本部で気候変動に十分な対応を見せない大人たちに対して「How dare you(よくもそんなことができる)」などと怒りに満ちた演説を行い、大きな話題となった。ノーベル平和賞の有力候補にも挙げられた。
今年の最終候補は5人で、グレタさんのほかに、トランプ米大統領▽野党・民主党のペロシ下院議長▽トランプ氏の「ウクライナ疑惑」の「告発者」▽香港のデモ隊が挙がっていた。
「今年の人」は、同誌の編集者らが1927年から毎年、その年に最も影響力があったと考える人物を選出。昨年は真実を守る戦いの「守護者」として、殺害されたサウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏らが選ばれた。
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タイム誌が21世紀に入って選出した「今年の人」は以下の通り(肩書は当時)。
(2001年)米同時多発テロの対応を指揮したルドルフ・ジュリアーニ・ニューヨーク市長
(02年)大組織の失態を内部告発した女性3人
(03年)イラク戦争で政権を崩壊させるなどした約140万人の米兵
(04年)再選を果たしたブッシュ米大統領
(05年)マイクロソフト会長のビル・ゲイツさんと夫人のメリンダさん、ロック歌手のボノさんの慈善活動家3人
(06年)情報化時代をコントロールする「YOU(あなた)」
(07年)権力を握り続けるロシアのプーチン大統領
(08年)アフリカ系(黒人)初の米大統領となるオバマ氏
(09年)リーマン・ショック後の経済危機対応にあたった米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長
(10年)「フェイスブック」創業者のマーク・ザッカーバーグ氏
(11年)「アラブの春」などデモで歴史をつくった「抗議する人」
(12年)再選を果たしたオバマ米大統領
(13年)厳格な教義よりも許しや思いやりを前面に出すローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇
(14年)エボラ出血熱の治療などに携わった「エボラ・ファイターズ(エボラと闘う人々)」
(15年)欧州の債務危機や中東などからの難民受け入れで行動力を発揮したドイツのメルケル首相
(16年)「アメリカ分断衆国」の次期大統領、トランプ氏
(17年)セクハラ問題を告発した「沈黙を破った人たち」
(18年)殺害されたサウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏ら真実を守る戦いの「守護者」
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル